生け花は日本の伝統的な芸術であり、また、生活に根付いている文化でもあります。日本の先人の技と心を伝承するおもてなしの伝統文化として、人々の心を和ませてくれるものとなっています。

アシンメトリーを楽しめるお花まとめ

華道は、「空間の芸術」とも言われていて、完全な左右対称ではなく、自然界のほとんどのものがそうであるように、左右非対称アシンメトリーが好まれる傾向にあります。

華道において、アシンメトリーは美学

左右非対称アシンメトリーは華道の美学の1つ。自然界に存在し、幾何学的に左右のバランスが整ったものは、かなり少ないものと言えるでしょう。

主役となる枝をまっすぐではなく、あえて左右に傾けることで、味わい深さが増していきます。いけばなは、少ない材料であえてアンバランスなアシンメトリーに生け、逆にバランスをとるのです。

これは大変難しいことですが、そこが面白さでもあります。

アシンメトリーを楽しめるお花6選

ミモザ

ここ数年で大フィーバーしている感があるミモザ。鮮やかな黄色は眩しさを覚えるほとで、ポンポン状の可憐な花が特徴であり、上品で優雅な香りもミモザの魅力で、好きな方も多いでしょう。

とてもボリュームがあるので、アシンメトリーを楽しむには最適の花材と言えます。

ラナンキュラス

豪華なさまと、可愛らしいさまをあわせもつラナンキュラス。まるでバラのような華やかさがあります。

薄い花びらが幾重にも重なった姿が非常に美しい草花であり、主役級の雰囲気をまとうラナンキュラスは女性にとても人気があり、見るものを引きつけます。

カスミソウ

別名赤ちゃんの吐息ベイビーズブレスと呼ばれるほど、はかなげなお花です。

ふわふわと舞い飛ぶような白い花が、どんなときにも心に優しく寄り添ってくれます。そして、その雰囲気からカスミソウはどんな花にもなじみ、やさしいアレンジにする唯一無二の存在!

カスミソウの花はとてもつぶらで、茎もほかの花にはないほど細く、華奢です。その風情を生かして、アシンメトリーに活かされることも多いお花です。

スイートピー

松田聖子さんの曲でも大変知名度のあるお花です。ほんのりと甘い香りがするマメ科のお花で、切り花では、長めのものから短いものまで様々な丈があり、葉っぱがない茎だけの状態で流通している場合がほとんどです。

スイートピーの茎は直線であることは少なく、ゆるやかなカーブ状を描いている場合が多いです。

右に流れているスイートピーは右側に、左にカーブを描いているスイートピーは左といったように、自然の流れを活かすだけで自然にアシンメトリーを演出します。

ユキヤナギ

たくさんの白い花が舞い散る雪のような様の、曲線が美しいユキヤナギ。

枝に粘りが無いのが特徴であり、そのために折れやすいのが欠点ですが、枝振りの線も動きがあって、そのまま使うとアシンメトリーが演出され、美しい姿が引き出せる花です。

ホオズキ

初夏の風物詩、「ホオズキ市」としても親しまれているホオズキは、七夕の頃から出回り、さわやかな葉の緑色と赤色のコントラストが涼しげに夏の到来を知らせてくれます。

ホオズキを入れると、季節感のある、涼やかな感じを楽しめます。個性的な姿、形、そしてビタミンカラーの鮮やかなオレンジは、差し色やポイントとなり、アシンメトリーな作品を作る際にも重宝します。

アシンメトリーのような情緒ある作品にする仕上げ方

華道は割と感覚でやっているのでは?と思われがちですが、実はそうではないのです。

花や枝で、一本一本表情が異なり、様々な方向から見て、花たちの一番美しい表情が見えるのはどの位置なのかをしっかりと考えながら、生けているのです。

また、枝ぶりのたくましさや花が持つイメージを整理したり、色が強すぎるものは少し花びらを抜いたりして、バランスを整えていきます。それによって余白が生まれ、アシンメトリーのような情緒ある作品に仕上がります。

なかなか自己流ではこのような技は使えませんので、ちゃんと基礎から華道を習うことをお勧めします。

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